時を超えて

□言われてない!
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くだらないかもしれない

だけど、大切なこと


言われてない!



「ミユの快気祝いだー!かんぱーい!」

既に暗闇に包まれた景色の中、そんな声と同時に一斉に響くグラス同士がぶつかり合う音


「何回目だよい」


その様子を少し離れた場所で苦笑して見ていた俺は、それでも宴は気分を高揚させてくれて、グラスに入った酒を一気に喉に流し込む

「乾杯の名目が欲しいんだろうよ」

「だな」

すぐ近くにいたジョズの言葉に妙に納得して、俺は肩を揺らして笑った


1ヶ月程前、海に落ちて三日間目を覚まさなかった妹分の快気祝いと称した宴会は今回ですでに三回目


「マルコたーいちょっ!」

そしてベロベロになって絡んでくるのも毎度のことで、俺は心底嫌な顔を作って妹分であるミユを見た

「あははは〜!マルコたいちょー変なかおー!」

「お前がさせてんだよい」

「またまた〜」

ケラケラ笑いながら俺の言葉に動じることもなく肘でわき腹を突っついてくるミユに俺は小さくため息つきながらも、口元を緩めながらその小さな頭に手を置いた


「エースはどうしたよい?」

「エース隊長?隊長なら・・・あっちでサッチ隊長と大食い対決してますよ」


「ほっぺパンパンにしてリスみたいで可愛かったですよ〜」といって、その様子を思い浮かべているのかだらしない笑みを浮かべるミユに、俺は片眉を上げてその様子を見る


俄かには信じがたいが、こいつは海に落ちた際にエースの幼少期にタイムスリップしていたらしく一週間を共にしたとかで、エースもそのことを覚えているのだから、その話をミユから聞いた時は全くグランドラインは何が起こるかわからない、とつくづく感じたもんだ

そしてそのことをミユから聞いてから、元々仲の良かった二人だったが、さらに急速に二人の仲が近づいたように感じていたので、あぁこれは付き合いだしたのだな(やっと)、と船内ではすでに公認の仲でもあった(甲板で堂々と膝枕してたからな)


だから、今目の前でだらしなくも幸せそうに笑うミユを見ると、何だかこちらまで気恥ずかしい気持ちになる


「なーに話してんだ?」

「エース隊長!?」

「本当にリスみたいだよい」

そんなことを考えながら目の前でフニャフニャ笑うミユを見ていれば、急にその背後から現れたのは頬に食料を詰め込むだけ詰め込んだエースで、俺は本当にリスみたいだと驚き目を丸め、ミユも驚きながらも嬉しそうに振り返った

エースがいた場所をチラリと見れば、サッチがパンパンになった腹で倒れていた

「エース隊長がリスみたいで可愛いなって話ですよ!」

「は?俺のどこがリスみたいなんだよ!」

「ぎゃー!」

悪気なく言ったミユの言葉が気に入らなかったのか、エースは食物を飲み込むと眉間に皺を寄せその首に腕を回してその首を絞めにかかる

「ほーら言って見ろ?俺のどこがどうで可愛いって?」

「ぐっ・・・ぐるしぃ・・・」

口端を吊り上げながら楽しそうにミユの首を絞めるエースと、苦しさでバシバシとエースの腕を叩くミユ(その顔は真っ青だ)

乗船当事から変わらない二人のやり取りを見ながらも、ミユと関われることが嬉しくて仕方が無いというような雰囲気を醸し出し、笑うエースに俺は苦笑した


「エ、エース隊長!今あたし黄泉の国に片足突っ込みましたよ!」

「俺を馬鹿にしたミユが悪ぃ」

やっと開放されたミユが大きく深呼吸をして訴えるように抗議すれば、それを見てゲラゲラ腹を抱えて笑うエース


「馬鹿にしてないですよ!可愛いなって言っただけです!」

「言っとくけどな、男に可愛いは褒め言葉じゃねぇから」

「え?!」

ピタリと笑いを止め真剣な表情になったエースの言葉にミユは「そうなんですか!褒めてるつもりだったのに!」と声を上げて驚いていた

俺はそんな二人のやり取りを見ていると、段々子供の、と言うか弟と妹の言い合いのようにも見えて笑いがこみ上げてくる
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