短編夢U
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【原作沿連載夢男装ヒロイン】
お相手:ゾロ
ガシャン
真っ青に晴れ渡った空に弾かれた刀が綺麗な弧を描いて舞い、地面に落ちる音がした
「また、俺の勝ちだ・・・」
「・・・っ」
不適に笑みを浮かべるゾロと少し悔しそうに表情を歪める俺
暫く視線を交えた後、俺はスッと目を伏せて小さく息を吐き出した
「何度やってもだめか」
「けっ、お前みたいなヒョロイ奴に何か負けるかよ」
「何だと!これでも毎日鍛えてんだよ!」
「へー。鍛え方が甘いんじゃねぇのか?」
「そんなことねぇ!」
フンっと鼻を鳴らして刀を鞘に収めるゾロを尻目に、俺は苛立った感情を露にしたまま自分の弾かれた刀を取りに行く
俺とゾロの日課になりつつある剣術の模擬試合
船の上で鍛錬を続けるゾロが「鍛錬だけじゃ感覚が鈍る」と言うことで誘われるまま始めたのだが、いつもいつも負けてばかりで悔しい思いをする俺
「はぁ〜、いつかゾロを負かしてやりたいなぁ」
「叶わねぇ希望は捨てろ」
「・・・」
ドカッと船縁に背を預け空を仰いで呟いた独り言も、ゾロはハッと笑いながら言い捨て俺の隣に座った
俺はそんなゾロをジト目で追いながらも、再び小さなため息をついて口を開く
「でも、そうだよなぁ…ゾロが負けるトコなんて想像できないもんな!」
「・・・」
笑いながらそういえば、汗を拭いていた手をピタリと止めてこちらを見るゾロと目が合った
突然動きを止めこちらを見たゾロを不思議に思って首をかしげて「ん?」と問いかけてみれば、ゾロはハッと我に返ったように慌てて俺から視線を外すとタオルを頭にかぶってワシャワシャと掻き乱した
「ゾ、ゾロ?」
一連の動作の意味が全く理解できず問いかけるが、ゾロからの返答はなし
よくわかんないなぁ、何て思いながら、ま、いっか、と自分の中で無理やり納得させ再び真っ青な空を見上げた
あー今日も良い天気
「・・・あの笑顔には勝てねぇ」
気持ちよく日光浴をしていた俺の耳に、ゾロの言葉は届かなかった