リクエスト作品

□一瞬の躊躇、永遠の束縛
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才能も努力も関係ない。
結局のところ結果が全て。

勝った奴が讃えられる。
それが単純化した社会の構図だ。


アメフトで俺は才能があるわけでも、それを補う努力をしているわけでもない。
それが芸能界に足を踏み入れれば、努力もなく才能だけで輝くスター扱い。
芸能界の奴等にしてみれば、俺は阿含みたいなもんなのかもしれない。――あそこまで露骨な態度はとっていないにしても。


練習に出れば罵倒され、仕事になれば祭り上げられ、その後で罵倒され……激しい落差に俺は自分の価値がすっかり分からなくなってしまった。


「己の価値を気にして何になる。人と自分を比べることに意味などないぞ。
それは個性というものだ」
彼が真面目くさってそう言った時、俺はこいつを特別に思った。

こいつには一生かなわないんだと。
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