ES21

□好きと言えたら(進若)
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好きと言えたら1


進清十郎の朝は早い。
練習量の多さで知られる名門王城ホワイトナイツの通常練習に加えて、彼は個人メニューをも課しているからだ。
その膨大な量をこなすべく、彼は朝6時に部室に着いていたりするが、それを知るのは、今のところマネージャーの若菜小春に限られた。


進に合わせるように朝が早くなった若菜に、いちど進は自分に合わせて早く来る必要はないと言ったことがある。
自分が好きでやっていることだから、若菜に付き合わせるつもりはないと。はっきりと。

若菜は内心、酷い人だな、と思いながら、私も好きで早く来ているので気にしないでくださいと言った。
進はそれで納得したのか、それ以降何も言ってきたことはない。


全く、鈍いにも程がある。
どんなにゆっくり朝練の準備をしてもせいぜい三十分だ。残りの三十分、若菜は暇を持て余している。ガッシャン、ガッシャンと定期的な音を聞きながら。
最近では慣れから少し大胆に、汗が流れ落ちる綺麗な肉体を不躾に見ていたりする。

そこまでしても、進は気付かない。
先輩、女の子は普通、好きでもない人と二人っきりになるのは避けるものなんですよ?
分かってるんですか?
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