Glassノ器
□瞳.-Eyes-.
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スタジオの中に太陽の光が入って来たが、腕の中が安心出来た。
その時、スタジオのドアが開いた。
「…へぇ。」
暖琉だった。暖琉はニヤニヤしながら眠っている2人の横にしゃがんだ。絆の顔をの時期込んだ。
「…やっぱり城ヶ根絆…櫻とねぇ…ふーん」
暖琉はスマホを出して絆と櫻を撮影した。
「こりゃ…いいネタになるな」
ニヤニヤいながら暖琉は出て行った。暫くして今度は唯が現れた。
「おは…よ?櫻…か?」
不思議な顔をしながら唯は近づくと…
「…バンビちゃん!?メイクしてない?わぁ…こういう…え!?絆!!!」
唯はびっくりして2歩ほど下がったが次に怒鳴った。
「こら!!!起きろ!!!櫻!!!!!」
唯の声にびっくりして櫻は飛び起きてつられて絆も起きた。
「わぁわぁ!!!何!?」
「何じゃねーよ!!!!何してんだ!!!」
「唯!?あ、もうそんな時間か?」
「時間かじゃねーよ。何してんだ!?」
「何って終電無くなっちゃって…あ、絆…おはよう」
顔を赤らめて櫻が言うと絆も真っ赤にして『おはよう』と返した。そんな雰囲気をぶち壊すように唯が怒鳴った。
「イチャイチャする前に絆は顔洗って帰る準備して来い!!!!」
「あっ!!!はい!!!」
絆は慌てながら部屋から出て行った。
「唯ーそんな怒鳴んないでよー」
「怒鳴るよ…言っただろ。」
「何が?」
「もし彪悟に見られたらどうすんだ?女いるなんて弱みだぞ?」
そう言われて櫻は嫌な気分になった。
「なんだよ…唯だって恭子さんいんじゃん!!!お前も同じだろ?」
唯は鞄からペットボトルの水を出して櫻に頭からかけた。
「ぶわ!!!唯!!何すんだよ!!!」
櫻は慌てて立ち上がった。
「目ぇ覚ませボケ。」
「覚めてるだろ?」
唯はいきなり櫻の胸倉を掴んだ。そして静かに言った。
「恭子のことは何も言うな。俺がどうにかすることだ。お前が絆を守れるとは思えない。守りたいんだったら次の手を考えろ」
「なんだよ、それ…次の手って…」
そう言い合ってるとドアが開いた。絆だと思って振り返ると…暖琉だった。2人して睨むと暖琉が絆を前に出して来た。
「この子はお二人のお友達ですか?それとも侵入者?」
櫻が慌てて手を上げた。
「あ、俺の!俺のです!!!」
“彼女”とは言えなかった。絆を受け取り暖琉に『ありがとう』と言うと暖琉が笑顔で言った。
「なんだ…櫻くんの友達か。こんな早朝からいるから…」
「あ…ごめんなさい…終電逃して…」
「そっか…じゃ!これを持ってるといいよ?」
暖琉は持っていた鞄からカードを出した。櫻が受け取り2人して不思議な顔をした。
「これは…?」
「これがあればここのスタジオに出入り自由なんだよ?」
「え?なんで…?」
「っここに通っているレッスン生の親御さんは持ってるやつだよ。だからいつでも来てね?」
暖琉はそう言ってスタジオから出て行った。
「あっ…ありがとう!!!」
櫻はお礼を言った。でも絆は怖いという顔をして櫻にしがみ付いていた。
「絆?よかったな?」
「…うん…」
すると後ろでバンッと大きな音がした。唯が傍にあったノートを床に叩きつけていた。
「唯…なんだよ」
唯は睨み言った。
「気は絶対許すな」
「恭子さんのももらえば…!!!」
唯はいきなりゲンコツで頭を殴った。
「痛ッツー…」
「櫻!?大丈夫?」
唯は睨みつけて出て行った。
「唯くん…」
「放っておけ…喧嘩なんてしょっちゅーだから…」
「でっでも…私もあの人信用出来ないってちょっと思う…けど」
櫻は頭をおさえながら言った。
「あぁ…別に信用なんてしてないから。でもよかったじゃん…こんなのもらえてさ」
「うん…そうだけど…」
絆は櫻からカードを受け取り…不安な気持ちがいっぱいになってしまった。
ー2人はスタジオの出入口まで行った。
「帰れるか?」
「うん!大丈夫…」
「…帰らなきゃダメ?」
「うん…やっぱり着替えたいし…」
「そっか…帰って来ないの?」
櫻はずっと絆の腕を掴んでいた。絆は甘い態度を取る櫻が可愛くて仕方なかった。
「んじゃ…15時ぐらいには帰って来るよ」
「本当?」
「うん…仕事休みだし!」
「じゃ…待ってるな?」
「うん…バイバイ!」
絆が帰って行くと櫻は寂しくてたまらなくなったが、そのままスタジオに入った。スタジオに戻ると唯がいた。
「…頭まだ痛てーよ」
「当たり前だ…殴ったんだから」
「…別に気なんて許してねーよ。絆のことなら絶対守る…絶対」
片手に握り拳を作り櫻が言うと唯は優しく笑った。
ー『電車が参ります。白線の内側まで…』
絆はホームで電車を待っていた。絆が乗る電車はどの時間も満員になる電車だった。ため息を着きながら絆は乗った。ドアの前を取ろうとしたのに押されて押されて中央まで来た。
どうしよう…ここだとつり革届かないんだよな…。
手をどんなに伸ばしても届かなかった。仕方なく足を広げて揺れにたえた。数分すると…。
「え…」
誰かの手の甲が絆のお尻にあった。
…触ってる…?わけじゃないよね?そうだよね…。
絆が言い聞かせていると…揺れと同じ動きをしながら手の甲も動いた。
違うよ…違う…。
でも暫くすると手の甲はお尻をトントンと軽く叩いた。
え…嘘。
また揺れと同じように動くと…またトントンと軽く叩いて来た。
どうしよう…動かないと…動かないと…。
そう思っても動けるわけがなかった。すると掌を返してスカートの上からお尻を撫でて来た。
どうしよう…どうしよう…足閉じたら倒れちゃうし…。
そのままお尻を揉んで来た。身動きが取れず上下にお尻を揉まれてどんどん体が熱くなってきた。すると揉むのを辞めて指でお尻の頬をプニプニと押して来た。
くすぐったい…。
そう思っていると…手がいなくなり…安心すると…いきなり後ろ首をペロッと舐められた。
「ヒャッ…」
すぐに電車のドアが開き…沢山の乗客が降りた。絆は出されないようにすぐに手すりに掴まった。
「ハァハァ…今の何…?」
ドアが閉まり…ガラガラになった電車でぼーっとして…次の電車で降りた。体が火照ったままトイレに行き個室の鍵を閉めた。
「あぁ…ハァハァ…」
絆は自分のパンツを脱いだ。
「…あぁ…やっちゃった」
絆は今まで彼氏はいたが、ヤッたことは一度もなかった。だから男性から触られるとすぐに感じてしまうのだ。換えのモノも持ってないのでそのままパンツをはいた。
「よし…とりあえず家帰ろう…」
絆は溜息をつきながら次に来た電車で家に帰った。絆の家は櫻たちのスタジオから電車で1時間のとこだった。絆が住んでいた家は小さなマンションだった。そこの大家さんは子供の頃からの知り合いだったから格安で住まわせてもらっていた。
「ただいま…」
家に着くなり絆は急いでお風呂に入った。何せ時間がなかった。自分も早く会いたいという気持ちが強かったために15時と言う無謀な時間に待ち合わせをしてしまった。
急いで準備をして冷蔵庫にあったヨーグルトを食べてから下駄箱で靴を履いた。下駄箱にある大きな姿見を見ながら洋服も確認した。
「…いいよね…」
痴漢にあったとしても絆はスカートを履いた。
「だって…櫻なら…」
絆の頬が少し上がった。ドキドキしながら鞄を持って【青山系お姉さんスタイル】で家を出た。