Glassノ器
□瞳.-Eyes-.
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絆は少し悩んでから前を向いた。すると少し歩いたとこにコンビニの光が見えた。
「あ、さっ櫻!コンビニで傘買おうよ!」
「え…?うん…」
櫻の気持ちが落ちたことはなんとなくわかった。でも、下着を見せたくはなかった。コンビニまで走って入り…傘を二本とタオルを買った。コンビニを出て櫻は傘を開いた。絆も開こうとしたので止めた。
「あ、絆…一緒に入ろう?」
「…うん!!!」
満面の笑顔で頷き一緒の傘に入って駅まで行った。
「絆の最寄駅ってどこ?」
櫻が傘を閉じて言った。
「桜野駅だよ?」
「…どこ?」
「ここから一時間」
「一時間!?遠いな…」
「そんなことないよ!!!すぐだよ!」
「一時間はすぐじゃないよ…」
「大丈夫だから!!!」
櫻が絆の手を握った。
「今度いつ会える?」
少し照れ臭そうに言う彼が可愛かった。絆も嬉しくて返した。
「明日は仕事だし…あ、でも夜ならいつでも…」
「今度の生ラジオ来る?」
「うん!もちろん行くよ!」
「じゃーその帰り会えるかな?」
「会えるけど…打ち上げとかないの?」
櫻は少し悩んでから手をブランブランさせた。
「あるけど…10分ぐらい大丈夫だよ…?」
「…本当?」
絆は少し上目使いになりながら聞いた。櫻は満面の笑顔で…。
「うん!!!絶対!!!」
と返した。心配そうな顔をする櫻を背に絆は電車に乗った。櫻は絆が見えなくなるまで見送って…ため息をついた。
「ちぇ…」
‐絆は電車のホームに着いて…いつもと違う車両に乗った。
もうこの電車しかないもんね。違うルートで帰ると終電がないもん。
そう言い聞かせて違う車両に入り…5分後電車が発車した。最終電車も相変わらず混んでいて手すりからドンドン離されてしまった。すると…
トントン。
また手の甲が絆のお尻をトントンした。
「え…」
なんで…?
逃げようとしても鞄が人に挟まっていて抜けない。そう思っていると今度はすぐにスカートの中に手を入れて来た。
「ヒャ…」
パンツ越しにお尻を何度も揉まれて股間のワレメを指で何度も擦られた。
「ダメ…」
声が出ない。なんで…なんで…と何度も思った。すると電車の揺れと同時にスカートを引っ張られた。少し移動してまたお尻を触られた。暫く耐えていると今度は手が前の股間を触る形になり前からワレメを攻められた。混んでいる車内で見えるわけもないのに顔を上げれば人が沢山いる。こんな場所で…そう考えた途端絆の体は熱くなっていた。刺激が終わると今度はお尻に戻りゆっくりとTバックにされた。生地をお尻に食い込ませて軽く上げられた。恥ずかしくてたまらない。そうなっていると片手で股間を攻められた。暫くすると…
グショッ…。
自分の股間が濡れていることに気が付いた。
どうしよう…。
そう思っていると…
「昼間のとパンツ違うね?換えたんだ…どこで脱いだの?」
「え…」
そう言われた瞬間、いつもたくさん降りる駅で絆も一緒に降ろされた。そのまま取り残されたが…トイレに駆け込みたい気持ちを押さえて電車に乗った。終電を逃したら帰れないからだ。車内が空くとスマホを出せるのでラインを開いた。
櫻『気をつけて帰れよー』
櫻からのラインは今の絆には辛かった。
ー櫻はスタジオに帰って鏡の前でダンスの練習をしていた。何百回も練習をして騒いだ。間違えるとソコを何百回も練習して何百回も唯のダンスをスマホで再生した。唯が出来るのに自分が出来ないことが悔しかった。
クソッ…
床に大量の汗が落ちて、足元を滑らせた。床を思い切り叩いて『あー』と叫んだ。
『唯には劣るな…』クソ…
NAOTOの言葉を思い出してイライラが抑えられなかった。床にあおむけになって天井を見た。
「なんで…なんで追いつかないんだ…」
そう問いかけても出て来なかった。その時スマホが鳴った。グルンッと体を起こしてスマホの画面を見ると絆からだった。
絆『今家着いたよ』
絵文字も顔文字もないなぁ…。つか…1時じゃん…。
櫻『本当に遠いな。大丈夫だった?』
1分もしないうちに返事が来た。
絆『遠くないよ?ラジオ観覧楽しみにしてるね!!!』
不安になったので櫻は電話をいれた。でも絆は何回かけても出てくれなかった。
櫻『絆?どうしたの?なんで出てくれないの?』
暫くしてまたラインが返って来た。
絆『ごめんね…お風呂入ってた』
櫻『電話したい…』
絆『ごめんね…私の部屋壁薄いから…夜中電話は難しいの』
壁薄い?ってなんだ?
櫻『そっか!!!絆、ラジオ終わったら少しご飯とか食べれるかも』
絆『本当?嬉しい!楽しみ!』
たわいのない話をして絆が『お休み』と送って来たので、その日は絆との会話は終わった。
「バァァァァァァァァンンンンン!!!!!」
大声で叫んでも絆は目の前に現れない。掴みたくても掴めない。1秒でも一緒にいたい。いたいよ…。
その時、電話が鳴った。絆だと思ってスマホを握ると…画面には『夏音』と書かれていた。
「夏音…」
絆と付き合ってから夏音からのラインはそっけなく、電話は殆どでないようにしていた。でも…
「はい」
出てしまった。
「櫻?」
元気のない。暗いトーン。
「おう…どうした?」
天井の傷後を数えながらスマホを耳にあてた。
「…ううん。櫻、家?」
「いや、スタジオでレッスン」
「強制レッスン?」
「ううん?自主練」
「そうなの?…無理しちゃダメだよ?」
「うん…」
「櫻…」
「ん?」
「会いたい」
夏音の言葉に櫻は返せないでいた。すると。
スタジオのドアが開いた。びっくりして起き上がると夏音がいた。
「電気ぐらいつけなよ…」
「夏音…なんで?」
「前の家も引き払ったんでしょ?唯くんと共同だっけ?」
「ちょっと待て!夏音!」
夏音は櫻の前に座った。よく見ると夏音の頬はほんのりと赤かった。
「…夏音…お酒呑んでる?」
「だってバーで働いてるんだよ?」
「だからって呑むなよ」
夏音はスリスリと櫻に近づいて行く。櫻はゆっくり後ろに下がりついに壁まで追いやられた。
「夏音待った!ストップ!」
「何を?」
「何をって!!!近づくなよ」
「なんで?」
夏音はそのまま櫻の首に腕を回して軽くキスをした。
「…いいよ?」
「いや、俺はようないの!!!」
「ふふっ…バンちゃんと付き合えたの?」
櫻の体はビクッとした。夏音は笑いながら言った。
「あったりー!!!だから私で抜かなくてもよくなったってことね!」
「そんなんじゃない!!!さっさとどけ!!!!」
「怒鳴っちゃって…照れてるんだ!」
「夏音…どけって…!!!」
夏音はいきなり泣き出した。お酒も入って自分の感情が操作できないのかもしれない。
「なんだよ…なんで泣くんだよ…」
「櫻が幸せなの嬉しいのに…嬉しいのに…」
「…わかったから言うな」
櫻は黙らせるように夏音の唇のキスを落とした。泣いている彼女は嬉しそうに櫻の口の中に舌を入れて来た。
「ンッ…」
櫻が逃げようとすると壁に頭をぶつけたが、夏音は気にせずキスをし続けた。こんなに求められたのはいつ以来だろうか。