Glassノ器

□瞳.-Eyes-.
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駐車場に着くと辺りを見回して…車に隠れながら自分たちの車を探した。

「誰もいない…よな?」

すると靴の音が聴こえて櫻は慌てて車の後ろに隠れた。そっと顔を覗くと…絆だった。

「…6…6…6…」

車を探してくれているようだった。櫻は絆の手を掴んで引き寄せた。誰かがかけて来る音がしたのでそのまましゃがむと絆をおんぶするように座ってしまった。

「さっさく…」

「シー!!!」

櫻に包まれていると心臓が飛び出しそうだった。足音が遠のくと絆は慌てて櫻から降りた。

「ごっごめんなさい!!!」

「なんで?俺は嬉しかったよ?」

櫻はニヤニヤしたまま絆の手を握って車の前に来た。車は前のオンボロ車ではなくて新車のアルファードハイブリッドだった。絆は口をあんぐり開けた。

「車…変えたんだ」

「え?あぁ…絆もファンだもんね?」

「あ、ごっごめんなさい」

「なんで謝んの?謝らないのー」

櫻はそう言って車のドアを開けた。

「入って?」

「うん…」

絆は車の中に入り奥に座った。櫻も車の中に入りドアが閉められた。狭い空間にいるのは初めてだったのでドキドキしていると…櫻が手を握った。絆がビクビクしてると櫻が言った。

「今日のラジオどうだった?」

「え?あ、うん!!!すっごくよかったよ!かっこよかったよ!」

「本当ぉ?」

疑うように言う櫻に絆は満面の笑みで返した。

「本当だよ?2人の掛け合いとか面白かったもん!あとね、ダンスもすっごくかっこよかった!キレが出て来たなってすっごく思ったよ!」

興奮して長々喋る彼女は可愛かった。思わず優しく頭を撫でると口が止まった。

「さっ櫻…恥ずかしいって…」

「じゃ…もっと恥ずかしくしてあげる」

「え…?」

櫻は絆のアゴをクイッとあげてゆっくりキスをし始めた。櫻の優しいキスは絆の体を熱くさせた。

「絆ってめっちゃ可愛いな」

「え…そんなことないよ…」

「…俺が可愛いって思ってるからいいの」

「…ありがとう」

「うん」

櫻はまた優しくキスをした。舌も絆の口の中にいれて嫌らしい音を車の中に響かせると…絆が恥ずかしがって顔を背けるので無理やり頭と手を押さえてキスをし始めた。

「ンッ…サク…ンアッ…」

櫻のキスは止まらない。

こんなにキスって気持ちいいんだな…好きな子とのキスって…

そう思うと夏音に申し訳ない気持ちも生まれた。そのまま押し倒そうとすると…絆の足が櫻の腹に来ていた。

「この足は…?」

「ごっごめん…ストップ…」

「ストップって…んじゃキスもっかいする?」

「そしたら止まらないでしょ?」

「恥ずかしがり屋の絆ちゃんはどこへやら」

「恥ずかしいから辞めて…」

今にも泣きそうな顔をするので仕方なく櫻は起き上がった。自分の股間を少しズボン越しに動かして耐えた。絆は溜息をついてから言った。

「ごめんね…今日はダメ」

謝られたので櫻は優しく笑った。

「謝らないで?俺が悪いから。また呼んでもいい?」

「え?呼ぶ?」

「うん!!!イベントとかの後に駐車場…」

絆は満面の笑顔で笑った。

「うん!いいよ!あ…でもあまり遅くない時間がいいかな…」

「遅いと嫌?」

絆は少し考えてから返した。

「うん…終電とか翌日の仕事とか怖いし」

「そっか…だよね…もっかいキスしてもいい?」

絆は少し悩んでから顔を赤らめた。

「わっ私からでもいい…かな?」

耳まで真っ赤にする絆を見て櫻は『お願いします』と言った。絆は緊張しながら両肩に手を置いてから優しくキスをした。数秒すると櫻が舌で絆の舌を誘った。絆もビクビクしながら櫻の口の中に入れた。すると待ってましたと言わんばかりに櫻は絆の舌を吸い始めた。

「アッ…アッアンッ…」

絆の声が耳に響き…櫻は自分のを自分で揉み始めた。念願の絆とのキス。絆とキスをしながらオナが出来ることが嬉しかった。それだけで嬉しかった。イキそうになった瞬間…櫻のスマホが鳴った。出たくなくてキスし続けようとすると絆から離れた。唾液が糸を引き、シートの上に落ちた。

「電話鳴ってる…」

「…いいのに」

櫻は溜息をつきながら電話に出た。相手は唯だった。

「なんだよ…」

「なんだよじゃねーよ…あと5分したらそっち行くから…絆ちゃん帰しておけ」

「えー…俺このまま抜けちゃダメ?」

「ダメ!!!」

「えー…」

「えーじゃない!!!」

唯はそう言い電話を切った。軽く舌打ちをして電話を切ると絆が言った。

「もう…バイバイなんだね…唯くんの声ちょっと聞こえた」

「あぁ…でも…」

「大丈夫だから…打ち上げもお仕事!お仕事!」

「…俺は一緒にいたい…」

櫻はそう言って手を握った。

「私も一緒にいたいよ…」

「2時間ぐらいで終わらせるから…待ってることなんて出来ないよな」

伺うように見る彼は子供のように見えた。絆は苦笑いを浮かべた。

「ごめんね?それはちょっと…」

「そうだよね…今度いつ会えるかな?」

「今度は…」

絆が考えていると櫻が続けた。

「仕事って何時に終わるの?」

「えーっと…早番なら17時に終わるけど遅番だと23時過ぎるかな」

「そんな遅いの!?」

「え?うん…飲食店だからね?」

「そっかぁ…」

そう言っていると絆が車の鍵を開けようとした。

「帰っちゃう?」

「うん…だってスタッフさんに見つかって怒られたくないもん!」

可愛く言う絆は笑っていた。

「今度いつ…」

「大丈夫だよ!すぐ会うよ?私も会いたい!」

ニコと笑う絆が好き。大好き。手を振りながらかけていく彼女を見送って、5分後ぐらいに唯たちが来た。寝たフリをしてやり過ごしそのまま打ち上げに行った。

「櫻!!!降りるぞ?」

「わかってるよ…」

少しムスッとしながらも櫻は車から降りて予約をしていた居酒屋に行って打ち上げは行われた。1時間して櫻が颯音に聞いた。

「はやちゃん?彪悟さんは?」

颯音はお酒も入ってご満悦な顔を浮かべていた。

「あぁ…なんかまだ終わってない仕事があるってさぁ!こういう時は打ち上がっておけってな?」

「ふーん…終わってない仕事か…」

暖琉がどういう仕事をしているのかわからないが、気にもしなかった。


ー絆は遠回りの電車に乗ろうと走っていたが…改札前で足を止めた。

「あぁ…行っちゃった」

遠回りの電車は1時間半かかるが、“あの人”には会わないで済むと思っていたのに…間に合わなかったのでいつもの電車に乗ったが車両はもちろん換えた。ラジオに行く前も痴漢に合った。コンビニに行って下着を換えたので…先には進めなかった。

「はぁ…」

溜息をつきながら電車に乗った。いつも以上に混んでいた。どんどん押されて手すりすらないとこにいた。
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