庭球

□罪
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ねえ、大好きなのに…


大好きなのに…!


想いはどうして届かないのだろう?


叶いはしないのだろう?




ねぇ




涙が止まらないよ。


精市がいないと、私は、私は・・・。


『愛してるよ』


そう言って、いつだって笑ってくれた。


『フフッ可愛いことするねぇ?』



そう言って、頭を撫でてくれた。


その言葉全てに、私は支えられていた。



『心配しないで、俺は君の傍から離れたりしないよ』



精市は、確かにそう約束してくれた。


だけどそんな約束は無惨にも壊れてしまった。


いや、私が壊してしまったんだ。


思い出される残像に目を背けたくなる。




キキキィーーー!!!




『・・!!!危ないっ!』






精市は私を守ってくれた。


彼の命を代償にして―・・・。


彼を死なせてしまったのだ。


誰よりも愛している彼を、だ。


彼にはまだ「明日」があるはずだったのに。


これからまだ楽しいことがあったはずなのに。


幸せを、ただ感じていくはずだったのに・・・!




「っ…!せ…いちぃ!ごめんねぇ…!




そう、ただ謝ることしかできなくて。



・・・彼は許してくれるだろうか?



私がいつか死んで、天国という地で彼と出会ったら、あの頃と同じように微笑んでくれるのだろうか?






そう、これはきっと許されることのない罪。

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