BL

□笑顔を
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いつからだっただろうか。


君のことを「好き」だなんて思ってしまったのは。


それは、許されない感情。


分かっているのにも関わらず、何故想いは止まらない?


・・・胸が、痛い。




笑顔を





俺にとってジャッカルとは、と聞かれたら?


片想いの相手、だ。


好き・・・なのだ、彼を。


何故?そんなの知らない。


感情は俺の意志に背いて動いているから。


全て分からない、自分のことなのに。





「おーい、ブン太?」


「・・・えっ!?な、何?」


考え事をしていると、ジャッカルに声をかけられた。


不意打ちでつい、動揺してしまう。


「いや、ボーッとしてたからよ」


「あ、わりぃ!

そうだ、今日ケーキおごってくれよ、いいだろ?」


あくまで平然を装って。


「はぁ・・・またかよ。まあいいけどよ」


少し困り気味の表情。


どうして俺はいつもこうなんだろう。


本当は彼の笑顔をみたいのに、困らせてばかりだ。


もっと、もっと素直になれたなら良かったのだろうか?


そして、彼に好きと伝えることが出来たのなら・・・。


でもジャッカルは優しいから、もっと困らせることになるかもしれない。


「じゃ、行くか」


そういって歩き出す。


付き合って無くたって、いつだって隣に居れる。


それは嬉しくて、少し切ない。


「き、今日さ、赤也廊下で思いっきり転んでたんだけど!」


「ハハハ!マジか?」


あ、笑った・・・。


その笑顔は俺の心に染み渡り、温かさをもたらした。


笑顔一つで、こんなにも嬉しくなれるなんて、何て単純な作りなんだろう。


やっぱり、やっぱり・・・。


俺はジャッカルのことが好きで仕方ないのだ。


だけど、だけど・・・。


この想いはきっと一生届かないから、君の隣でその笑顔を見ていたい。


隣に居れる限り、ずっと、ずっと―。

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