東方絶対力〜今日から俺が!〜
□五話
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過去に何か悪い事をしたのか。
いや、してないはずだ。
確かに、大切に育てていた花を凍らせたり、友達の仲間を凍らせたり、友達自身を凍らせたりした事はあったが、それで友達が怒るとは考えにくい。
ならば、何か異変が起こっているに違いない。
だが、自分一人では友達に勝つ事は難しいだろう。
最近、有名な傭兵とやらに頼もう。
傭兵に…
傭兵に――
「…」
「わはー♪」
目の前にはルーミアがいた。
「チルノ、起きた。
大丈夫?」
「え?
あ、うん。
大丈夫に決まってるじゃない!
あたいはさいきょーなんだから!!」
「そーなのかー。」
腰に手を当てて、ぐっと背伸びをした。
「…ルーミア。
ここ、アンタん家?」
「違うよー。
一馬の家。」
「?」
「一馬呼んでくるー。」
「あ、ちょ…」
ルーミアが部屋を出て行ってしまった。
伸ばしかけた手が行き場を無くして虚しく空を切る。
「…一馬。」
一度名前を言ってみる。
確か、天狗の新聞に載っていたか。
「…頼んでみようかな。」
チルノは思った。
その一馬がどんな人物であれ、頼んでみる価値はあるだろう、と。
――
どしゃ降りになった。
一馬は窓の外を見て、黄昏ていた。
「何黄昏てるのよ。」
幽香が隣に座る。
そして、手に持ったコーヒーを渡してきた。
「ん…サンキュ。」
「どういたしまして。
…昔の事を思い出していたのかしら?」
「…なんでわかるんだ?
サイコキネシス?」
「そんな力ないわよ。
ただ…なんとなくね。」
幽香は雨の中の向日葵畑を見る。
それはそれで綺麗だ。
「私は、貴方みたいな辛い人生は送ってきていないから、なんとも言えない。
私には辛さがわからないけど、貴方の怒りや悲しみをぶつけてもらう事なら出来るわ。
たまに、私にぶつけてみなさい。」
「いや…ぶつける事はない。」
「?」
「戒めとして、鎖で引っ張って地獄まで持って行くまでよ。」
一馬はコーヒーを一口飲む。
「うまい。」
――
チルノは冷めたコーヒーを一口飲んだ。
「ニガッ!」
ブーッ!!
苦さに吹き出したコーヒーが一馬にかかった。
「…」
「Σきゃあっ!?
大丈夫ですか!?
今拭くものを持ってきます!!」
エリーが廊下に消える。
どうやら、雨の日は門番はしないようだ。
「にがいっ!!
にがいぃ〜!!」
「…で、なんの用事だ。」
「ぇあ?
あ、うん。
えっとね、あたいの友達を退治して欲しいの。」
「は?」