東方絶対力〜今日から俺が!〜

□七話
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一人は紅魔館で働くメイドの長。
自らの主人である吸血鬼を護り、またその日常も守る、屈強なメイド。
そしてもう一人は前大戦の英雄、[神殺し]の少年である。
一年前に現れた外来人だったが、後にかなりの可能性を秘めた力を持っていた。その力を使い、第三次月面戦争を終結させた英雄であった。

「いやぁ〜、お兄ちゃんに会うのも久しぶりだなぁ。」

そんな紅魔館の前に、のんきな声が響く。
天子、衣玖、小傘がそこにいた。
どうやら、用事があって来たらしい。

「そうですね。
あれから、もう一年ですか。」

第三次月面戦争は、一馬が現れる約一年程前に起こった出来事である。
幻想郷を滅ぼそうとする月人、八意 月夜見が度々幻想郷に攻撃を仕掛けていたが、幻想郷の名のある人妖が反抗し、見事に月夜見を撃ち破ったのだった。
そして、その時に神殺しの少年は大怪我を負ってしまい、この紅魔館にて絶対安静の状態だったのである。ちなみに、天子が言っていた「お兄ちゃん」とは、神殺しの少年に助けられてから、慕うように言っているのである。
三人は、紅魔館の門番に話しかけた。

「チィッス!」
「…」

門番は、壁にもたれかかってうつむいたまま、何も反応しない。

「…?
お〜い。」

天子が近づいて、顔を覗き込んだ。

「…Zzz…」

…居眠りをしていた。
天子は呆れた。

「門番って、居眠りが趣味なの?
エリーもだけど、役に立たないわねぇ…」
「落書きとかすれば、面白い事になりそう。」
「あ、いいわねそれ。
えっと、マジックマジック…」
「…

天子と小傘が、門番の顔にマジック(油性)で落書きして行く。
瞼に目を描き、頬に花を描き、最後に額に[中国]と書き込み、満足気にマジックをしまった。

「あっははははっ!!」
「いいね、これ、全体的に見て笑えるわ…プクク!」
(どうしてでしょう…
今回だけは、総領娘様を怒れない…)
「じゃ、行こうか。」
「…ぇ〜…

天子達は意気揚々と紅魔館に入って行く。
衣玖は、門番に陳謝の意味も込めて、深くお辞儀した。

バタン
「ん…ふわぁぁぁぁぁぁぁっ…」

天子達が館に入ると同時に、門番[紅 美鈴]が目を覚ました。
ほん めいりんである。
くれない みすずではない。中国でもない。
ほん めいりんである。
大事な事なので、二回言っておいた。

「むむぅ…またしても眠気に負けちゃいました…
最近は平和過ぎて、暇ですねぇ…
どうせ白黒には負けちゃうし…」
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