東方絶対力〜今日から俺が!〜
□二話
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少年は周りから孤立していた。
誰からも怒りの目か忌み嫌う視線を向けられていた。それこそ、両親からも。
少年は我慢した。
何年も何年も我慢した。
そんなある日、少年はとある橋の下に呼び出された。少年が呼び出された場所に行くと、少年は数人の人物に襲われ――暗転。
数秒したのち、少年は――血だらけだった。
――
あまりにショッキングな夢を見て、エリーは飛び起きた。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…はぁっ…はぁっ…はぁ…」
落ち着きを取り戻した所に、扉が開く。
「エリー、朝飯だぞって…
大丈夫か?
汗びっしょりだぞ?」
一馬だった。
「大丈夫…です。
少し、嫌な夢を見ただけで。本当に大丈夫です。」
「そう…か。
まぁ、とりあえず早めに来てくれ。
幽香がうるさくて。」
一馬はそう言うと、扉を閉めた。
扉の外の足音が聞こえなくなって、エリーは静かに呟いた。
「今のが…彼の過去…」
――少女移動中…
エリーが食堂に着いた時には、食事はもう始まっていた。 ルーミアもいるようだ。
エリーは青い顔で料理が乗っているテーブルの椅子に座った。
「おう、先に食ってて悪いな。
…大丈夫か?」
一馬がエリーの心配をした。
そこに幽香が口をはさむ。
「大丈夫よ。
エリーは幻想郷最・強☆の私の部下なのよ。
そんな簡単に倒れる訳――」
「そういう怠慢から最悪の事態が起こるんだ。」
一馬が幽香の言葉を遮った。
「ともかく、少し休め。
いや、休みなさい!
おK?」
「勝手に決めるな。」
一馬の顎に幽香のアッパーが炸裂した。
そのまま後ろに飛んで、窓を割って外へ行ってしまったのを幽香は黙殺した。
「…で?
何を見たのかしら?」
幽香は[全てを悟った]ように言った。
それは彼女が[エリーの能力]を知っているからだった。
「…」
「…そう。
言えない事なのね。」
幽香はエリーが目を背けたのを見て悟った。
しかし、幽香はエリーの頭をつかみ、真っ直ぐ目を捉えた。
「苦しむのは貴女…
気になるのは私…
話した方が楽になって、私の気もおさまる。」
「…たとえ、楽になっても、彼に聞かれれば、いい顔はしません。
逆に、出ていくかもしれません。」
「――あのね、エリー。」
幽香の手に力が入る。
「もしかしたら彼は[とてつもない可能性]を秘めているかもしれない。
敵になるかもしれないし、味方になるかもしれない。敵になるなら、味方になるなら、多少の事は知っても悪くない。
そうじゃなくて?」