東方絶対力〜今日から俺が!〜

□三話
1ページ/15ページ

一人で生きる事を肯定した男がいた。
誰にも頼る事をせず、少なからず利用をして。
まるで、自らを隠すように。自らの心を騙すように…


――


一馬は今、何が自分の身に起こっているのかわからなかった。
ただ、身体中が痛む。
視界が真っ赤で、何も見えない。

ドッ
「グッ!」

腹に何か刺さり、そのまま持ち上げられた。

「期待外れねぇ…
もう少し手間取ると思ったんだけど。」

誰が言ったかはわからないが、おそらく刺した本人――八雲 紫だろう。
期待外れと言われても、と一馬は思う。

「あ…たりまえ…だろう…」「?」
「あん…た…みたいに…つよい…わけじゃない…
おれは…じぶんが…よ…わいことを…じかくして…いる…」
「…そう。」
「だから…」

一馬の体が回転した。

「汚い戦い方も平気で出来る…!」
「!」
ガスッ

一馬の蹴りが、紫の横っ面を殴った。
その反動を使って、一馬は体から何かを引き抜いた。

「ヴアッ!」

地面に落ちた反動に、体が悲鳴を上げる。
目を擦って血を拭えば、簡単に視界が戻った。
すぐに紫から離れる。

「…瀕死のふりをしていたのね。」
「いーや、実際瀕死だ。
身体中が痛いし、神経が一部死んでっけど、あっちでもっと酷い事あったし、経験したし。
骨が折れてないのは手加減したからかな?
殺しに来たなら、手加減しなくてもよかったのに。」
「紫様は普段から何事にも手加減している。
仕事である大結界の管理も私ともう一人に任せて…」 「総〜?
貴方にはちょっとお仕置きが必要らしいわねぇ〜?」
「えぇぇっ!?
そんな!
僕何か悪い事言いました!?」
(自覚無いからたちが悪いよなぁ〜…)

一馬は顔をかいた。

「(さて…
幽香、逃げる事が出来るか?)」
「(逃げる…?
戦うんじゃなくて?)」
「(死ににいけと?
馬鹿言うな…
俺はもうちょっとしぶとく生きる。
死に場所は自分で決めるさ。
ここは逃げる。)」
「(…面白い事言うわね。
いいわ、貴方の事は私が守ってあげる。)」
「(…すまん。
フライパンが使い物にならなくなった事も含めて。)」
「(それは、働いて返してもらうわ。)
…行くよっ!!」
「頼む!!」

幽香が一馬を背負って走り出した。

「!」
「しまった…!」

紫と総が追おうとしたが、そこに弾幕が降り注ぐ。

「待ちなよ、紫。」
「流れ弾で被害を被ったんだ。
修理費置いてきな。」
「あと、お賽銭もね。」

霊夢達が立ちはだかる。
よく見れば、魔理沙とルーミアもいなくなっていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ