東方絶対力〜今日から俺が!〜

□四話
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「…つまり、お前さんを俺達の家に住ませればいいってか?」

運ばれて来た料理を美味そうに食べる少女――[比那名居 天子]を見た。

「んくっ…うん。」
「傭兵ってのは、宿屋じゃないんだが…
まぁ、いいや。
んじゃ、報酬の話をさせてもらおうか。」
「ほーしゅー?」
「まさか、タダで請けてもらえると思ってたのか?」
「お、思ってないわよ!
はい、これが報酬よ!!」

カウンターに叩き出されるように出された財布を手に取れば、中身はそれほど入ってはいなかった。
中身→1000円

「…」

一馬はそっとラニングに千円札を渡した。
そして、天子に財布を返した。

「家に帰って、もう少し持って来たまえ、お嬢ちゃん。」 「って、千円返しなさいよ!!」
「タダ飯食って帰るつもりか?
世間知らずもいい所だ。
さ、帰った帰った。」

一馬は天子の背中を押した。

「ちょっと、押さないで!」
「はいはい、わかったわかった。」
「話くらい聞いてくれたっていいじゃない!!」
「そうだぞ一馬。
話くらいは聞いてやろうじゃないか。」

イライジャが仲裁に入る。
一馬は天子を押すのを止めた。

「はぁ…
で、なんなんだよ。
家に帰れないのか?」
「あんな場所、家じゃない!牢獄よ!!
極楽浄土という名の牢獄!!」
「ずいぶんな物言いだな…」「[天界]は地上の人達はうらやましいと思うかも知れないけど、あたしにとっては帰りたくない牢獄!!」

一馬は、こっそり幽香に聞く。

「(なぁ、その天界って場所は、そんな嫌な所なのか?)」「(彼女にとっては、ね。
人間にとっては、働く事をしなくても生きていけて、毎日を遊んで暮らせる楽園らしいわ。)」
「(ふ〜ん…)」

一馬は興味なさげに言った。

「じゃ、なんで帰りたくないの?
その辺、聞こうじゃない。」 「言いたくない。」
「じゃ、帰りたまえ。
一人で帰り、一人で迷い、そして一人で途方に暮れろ。」(ひっでえ言い方だ…)

イライジャが内心冷や汗を流す。

「わかったわよ!
話すから、あたしの依頼を受けてよね!」
「それは話次第だ。
話したまえ。」

一馬が手をヒラヒラさせて促した。
天子が俯く。

「…あたしは、天界に居場所なんてないのよ。」
(ほぉう…?)

一馬の顔つきが変わった。

「天界ではあたしは蔑まれる存在…
パパ…お父様はあたしを捨てるし、お母様は荒れてしまって帰って来なくなった。
あたしはあたしの世話係と一緒に住んでいくしかなかった。
でも、少し経って…お父様が帰って来た。」
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