東方絶対力〜今日から俺が!〜

□六話
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一馬達が来て、数ヶ月が経った。
春の香りは薄れ、日射しは強くなる一方で、太陽の畑では向日葵が元気に咲き誇っている。
そんな草花が生い茂る季節のある日、幻想郷全土が厄に包まれた。


――


ゴッ
「…」
「°°( Д )」

屋根瓦が落ちて来て、一馬を直撃した。
血が流れ出したが、一馬は全く気にしなかった。

「…厄い。」
ギュルルルルル…

幽香は腹の調子が悪いらしく、油汗をかいて、腹を押さえた。

「Σ(>Д<)ブンブン」

けーちゃんには、さっきからハエが鬱陶しく集っている。

「…何故厄い。」
「さあね…
[厄神]がサボってんじゃ」
ギュルルルルル…
「な、いの…」
「(>Д<)ブンブン」

異様な光景だった。
ルーミアは朝から季節外れの風邪でダウンし、エリーは階段から落ちて足を複雑骨折し、一馬はただ歩いているだけで怪我をし、幽香は外に出た途端に体調を崩し、けーちゃんは虫集られる。
天子は何故か行方不明になって、衣玖はなんかあっちこっち飛び回っている。
これも全部、今現在幻想郷を覆っている[厄]のせいであった。

ゴシャッ
「Σニュートン!」

一馬の上に、植木鉢が落ちて来た。


――


とにかく、仕事どころじゃなかったので、一馬達は夢幻館に帰って来た。
幽香はトイレに一直線、一馬は頭に包帯を巻いて、けーちゃんはシャワーを浴びている。

「うひー、シャレんなんねーよ。なんだよ、この外の厄さ!
出らんねーよ。」

一馬の包帯はすぐに紅くシミが出来た。
すぐに取り換える。

「あ〜…
永遠亭行って来るかな。
ついでに、腹痛と風邪の薬もらって来ようか。
あ、エリーも連れて行くか。」

一馬はエリーの部屋に向かった。


――


翌日の事である。
厄による幻想郷の被害は、時間の経つ事に酷くなっていった。
その被害は、博麗の巫女にも及んだ。
――大怪我を負ったらしい。
今朝の文々。新聞にはこう書かれていた。
[博麗の巫女、謎の飛行物に激突!]
写真も載っていた。

「こりゃ…飛行機じゃねぇか!
こんなモンも幻想入りするなんてな…」
「ていうか霊夢、自分の分の厄除けのお守りを忘れるなんて、結構抜けてる所もあるわね。」

昨日一馬が永遠亭に向かう途中、霊夢と出会った。
その時、厄除けの事を聞いて、金を払うから夢幻館に届けてくれと土下座して頼んだのだ。
そして、幽香が言った通り、自らの厄除けを忘れ、その帰りに幻想入りした飛行機と衝突したのだった。

「昨日の事だから、飛行機も墜落したのだろうな。
生存者はいないだろう、[妖怪の山]に墜ちたんだし。」

妖怪の山は、その名の通り妖怪が沢山住む山である。まだ一馬は妖怪の山に行った事はない。
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