Fate/stay night〜Gun×Sword〜

□彼女の決意
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血が飛んだ。
今は仲間を逃し、色黒の美女1人だけが、この異形の魔物と戦っていた。
所詮は一対多数であり、負ける戦いであるのは目に見えていた。
だが、彼女は持たせた。

[脱出成功しました!!]
「そうか…
フ…私もよく持ったものだ。」

息を荒くしながらも、なんとか念話の相手に心配をかけまいと、口調を整えて言う。
あの幼い先生は、無事なのか――

「ならば、速やかにここから離れて欲しい。
こちらはこちらで脱出する。」
[わかりました!
隊長も…無事に!!]

念話が切れる。
無茶を言う――美女はそう思った。
もう無理だった。
立っている事でいっぱいいっぱいなのに、どう逃げろというのだ。
身体中から血を流し息絶えた私を見たら、仲間達はどう思うだろう。
怒るだろうか――泣くだろうか――それとも罵倒されるだろうか。
なんにせよ、無事では済む訳が無かった。
彼女は、自分はよくやった方だと思った。
世界を周り、誰とも知らぬ赤の他人を助け、自分のパートナーが死に、心が死んだ自分を、また戦場へと連れて来てくれた新たなパートナーや仲間のために、こうも簡単に命を捨てる事が出来た。
このかた、自分の命など惜しくはない。
だが…願わくは、まだ。

「人を、助けたかったなぁ…」

自分の自己満足のためだけだったが、それでも、誰かを助けたのは事実だ。
彼女はもう、命を捨てる覚悟は出来ていた。

「――契約しよう。」

虚ろな瞳を下げ、誰とも知らずに呟いた。

「私の死後を与えよう。
…私は命など惜しくない。だが…役に立つのなら、この安い命、吐いて捨てる程くれてやる。
その報酬をここに貰う。」

彼女の意識は途切れた。


















つづく
 

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