赤刀が幻想入り(?)

□二つ目の回
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さて、オレ達は中国の戦車やら軍人やらをちぎっては投げちぎっては投げを繰り返し、歴史に名を残したせいで、中国を追われる事になり、その時に奪った銃や弾丸をそれ専用の闇市とかに流して生計を立てていた訳だが、それも限界のようで。今日は宿が無く、街の路上に寝る事になった。

「ううっ…
ひもじいなぁ…」
「我慢しろ。
金が無いんだから仕方がないだろ?」

この国はイギリス、街の名前は…確か[レステンブルク]だったか。
オレ達は中国を抜け出した後、旅人を装い各地を転々としていた。
強い奴らが勝負を仕掛けて来たり、はたまた中国からの刺客を叩きのめしたり、時にはその国の軍隊から怒りをかって殺され(オレは融かされ)かけたが、だいたいはオレの知恵と美鈴の妖怪特有の力の強さを生かして対処してきた。
たくさんの人の返り血を浴びながら、美鈴は着実に強くなっていった。
ちなみに、オレは錆びたりとかはしていない。
美鈴が手入れしてくれるし、鞘まで買ってくれたし。

「うーん…
手っ取り早く稼ぐ方法って無いんでしょうか?」
「簡単に言うな。
…そうだ、飯屋で働けばいいじゃないか。
美鈴、料理上手いし。」
「嫌ですよ。
確かに中華料理屋で働けば儲かるかもしれませんが…私、またお尻触られるのは嫌です。」

前の街の話である。
中国が故郷の美鈴が、中華料理屋を見つけて入ったのだが、態度の悪い客が美鈴にセクハラしたからさぁ大変。 オレが喋った事に驚いた客を美鈴が殴り倒し、蹴り倒し、病院送りにしてしまったのだ。
あの事が根強く残っているらしく、美鈴はこの国のレストランや小料理屋に入る事を極力避けている。

「そんなワガママ言っても、持ち合わせが無いんだし、仕方がないだろう。
オレが言う通り、料理屋で働けよ。」
「…武器のあなたはいいですね。
お腹空かないし、触られても不快感を感じないし。」
「オレを枕にして寝てる奴が言うか。
このまま刀になってやってもいいんだぞ?」
「…ごめんなさい。」
「わかればいい。
…寒いな。」

ビュウッと強い風が吹き、美鈴はさらにボロい布にくるまる。

「そうですね…Σわぷっ!?」

突然、美鈴の顔面に紙がかぶさって来た。

「ぷはっ!
なんですか、ゴミはちゃんとゴミ箱に捨てないと…」
「お、おい美鈴、ちょっと見てみろ!」

そこには、新しく建設されたという闘技場の事が詳しく書かれていた。

「参加料金はなし、期限は三ヶ月…!
給金はクラスにより、一億〜三億…!!
更に、チャンピオンには毎月二十億!?」
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