黒小の本棚

□廻り巡る輪廻転生〜Reincarnation〜
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「小町!」

あたしは知り合いの死神の名前を呼んだ。

「ん?
おう、魅魔じゃないか。」
「すまないねぇ、今日は非番なんだろう?」

小町が笑い飛ばした。

「別にいいんだよ、アンタとあいつの昔話や会話を聞くだけで、あたしゃ満足なんだからねぇ。
さ、乗った乗った。」

小町の乗る船に、あたしは腰を落ち着けた。
ここは三途の川。
死者は魂が必ずここに現れ、死神が三途の川を渡してくれる。
あたしも何度も運ばれた事がある。
あたしの弟子である…あいつの元へ。

「まったく、アンタには昔から手を焼かせてくれるよ。」
「その話は無しにしとくれよ。」

あたしは小町の事を睨んだ。
…あたしは今、祟り神として博麗神社に住んでいるが、元々は三途の川から逃げ出した幽霊だったりする。理由は…かなり昔の事だから忘れたが、とにかく人間を怨んで悪霊となった事は覚えている。
その頃、新米死神である小町はあたしを三途の川を渡すために毎日追いかけっこをしたのである。

「ま、あの頃も確かに良かったっちゃあ良かったけどね。
変わるもんだねぇ、小町。
あの頃の仕事熱心なあんたはどこ行ったんだか。」
「うるさいねぇ!
今だって頑張ってるんだよ!」

小町は今よりかなり小さい少女で、巨大な鎌を不安定に持っていたのをまだ覚えている。

「毎日三途の川から離れて、どこでも昼寝してる奴の言う事かい?」
「うぐぅ…!」

小町は詰まった後、そのまま黙ってしまった。
しばらく船をこぐのに夢中になっていた小町だったが、不意にこちらに顔を向けてきた。

「今回はなんの報告に行くんだい?」
「ん?
あぁ…新しい弟子がね、出来たんだよ。」


──


それは久しぶりに幻想郷に帰って来た日の事…

「いやぁ、懐かしいねぇ。」

数年ぶりに魔界から帰って来た私は、長年潜伏していた魔法の森の家に帰って来た。
 

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