黒小の本棚

□やさしいきゅうけつき
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むかしむかしのおはなしです。


ある館に引きこもりの吸血鬼がおりました。


その吸血鬼はお姉さん吸血鬼とは仲が良いとはいえず、いつも部屋から出て来ませんでした。


お姉さん吸血鬼は困りました。


「このままでは、あの子は一生外に興味を示さない。」


お姉さん吸血鬼は考えました。


妹吸血鬼が外の世界の素晴らしさを知るためにはどうすればいいか。


お姉さん吸血鬼は毎日外の世界の素晴らしさを語りきかせました。


しかし、妹吸血鬼はお姉さん吸血鬼の言葉に耳を傾けませんでした。


それでもめげずにお姉さん吸血鬼は語ってきかせました。


ある日、お姉さん吸血鬼は妹吸血鬼にききました。


「どうして外に出ないの?」


すると妹吸血鬼はこう答えました。


「私の力で壊してしまうかもしれない。
だから、出たくない。」


妹吸血鬼には全てのものを壊すとても恐ろしいちからがありました。


妹吸血鬼はそのちからが怖くて、外に出ようとしなかったのです。


お姉さん吸血鬼はその言葉をきいて、なにも言えませんでした。
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