東方絶対力〜今日から俺が!〜

□四話
2ページ/16ページ

「へぇ、よかったじゃないか。」
「馬鹿、そうじゃねぇ。」
「え?」
「聞いてりゃわかる。
とりあえず、最後まで口を挟むな。」

イライジャはしぶしぶ口を閉じる。

「お父様はただ、あたしの名声が欲しかっただけ…
あたしの事なんて全然考えてなかった!」
(名声…ね。
彼女も[第三次月面戦争]の功労者。
名声があって当然か。)
「だから、あたしは家出したの!!
これが理由よ!!」
ダンッ!

天子が手をカウンターに叩きつけた。
結構痛かったらしい。

「…で?
どうする、一馬?」
「…一つ聞きたい。
お前はこの先どうしたい?」「?」
「二度と天界に帰るつもりはないのかと聞いている。」「ないっ!
と言いたいけど…
やっぱり、育った場所だし、いずれは帰りたいかな…」 「なら、駄目だ。
帰りなさい。」
「絶対に嫌!!
今帰ったら、次なんてないもの!!」
「すごい過保護だな…」
「ちげーよ馬鹿。
いいか?
自分の事のように言うとだな、いい事したから宣伝のためだけに幽閉されるっていうのよ。
お前、それだけのために幽閉されたら、耐えられるか?」
「うっ…」

イライジャは少し詰まって、「無理だ」と答えた。

「…子の心親知らず、って訳か。」

一馬は自分の母親を思い出す。

(このままだと、この娘は俺みたいになっちまうかもしれない。)

一馬はそう思ったら、すぐ行動に出ていた。

「わかった。
受けてやる。」
「本当!?」
「おいおい、報酬はどうすんだ?」
「もちろん、払ってもらう。働いて、な。」

一馬の言葉に、天子は目を白黒させた。

「比名那居 天子を我々の仲間として、報酬分の働きをするまで、夢幻館に置く。
もちろん、逃がさないよ♪」

最後の「♪」に異様な恐怖を感じた天子だった。


――


で。

「…なんで、人里の観光になったんだ?」

イライジャが呆れた表情で言った。

「いやだってほら、人里知らないって言うし、俺だってついたばかりだし。」
「だからって…
いいか?
確かに彼女は仲間だが…」 「だからって、貴方は彼女の父親と同じ事をするつもり?」
「いや、そういう訳じゃ…」

イライジャの言葉を無視して歩き出す。
イライジャは慌てて後を追いかける。

「ね〜一馬、あれは何?」
「あれは…なんだ?
幽香。」
「ああ、あれは…」

後ろから一馬達を見ていたイライジャは、まるで兄弟みたいだと思った。
双子の長女、幽香。
双子の長男、一馬。
次女、天子。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ