東方絶対力〜今日から俺が!〜

□五話
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「ふむ…」

一馬は思考を巡らせる。

(里近くで倒れた妖精…
きな臭いなぁ…
ま、それより目の前の仕事に専念しねぇとな。)
「で、今日はどんな用事で?」

一馬は仕事モードになった。

「チルノを送り返してあげる事と、[魔法の森]付近の生態系の調査に協力してほしいのです。」
「魔法の森の生態系の調査…?」

魔法の森とは、一馬が最初にいたあの場所である。
湿った空気のする、キノコの多い場所で、普通の人間には辛い場所である。

「なんでまた、そんな場所に?」
「[毛玉]です。」
「毛玉?
なんだ、そのモフモフしてそうな名前の奴は?」
「実際モフモフしてるけどね。
毛玉っていうのは、精霊のようなものよ。」
「精霊なんてのもいるのか。」
「精霊と言えるのは毛玉だけですが。
実は、最近になって毛玉の活動が活発になってきたのです。」
「ふむふむ。」
「それで、毛玉は自分達のテリトリーを守るために攻撃をして来るのです。
しかし、最近その攻撃が激しくなって来たんです。」
「ふん…
きな臭いな。」

一馬は足を組む。

「その毛玉達に、チルノはやられたかもしれねーな。
毛玉も一匹…いや一個じゃないんだろ。」
「Σ個!?
生きてんだから匹でいいよ!」
「いや、個で。」
「馬鹿やってんじゃないわよ。」
ゴン!
ゴン!
「ぶ!(吐血)」
「ぐぁっ!」

一馬だけリアクションが大袈裟だ。

「で…
とりあえず、チルノを[霧の湖]に返して、魔法の森の生態調査を協力すればいいのね。」
「はい。」
「依頼は受ける。」

一馬が血だらけで現れる。

「あの、大丈夫ですか…?」
「慣れている。」
(どんな慣れ?)
「だが、今日は無理だな。
雨が降るぞ。」

一馬が外を見る。
黒い雲が近くへと来ている。

「明日、朝から出発しよう。ここで落ち合おうぜ。」
「ああ、わかった。
じゃ、先に帰らせてもらう。洗濯物、干しっぱなんだ。」

イライジャは「濡れる前に取り込むぞー!!」と言って、走り去った。

「…まぁ、とにかく明日だな。
なんにせよ、チルノも休ませてやらんと。
幽香、俺達も帰ろうぜ。」
「わかったわ。
じゃあ、明日、ここで。」
「わかりました。
では、私達もこれで。」

代金を払って、各々が自らの家へと帰って行った。
一方…

「俺達、空気だな…」
「ああ…」
「…俺様、一言二言だけだ。」「おごりだ。」
「「「ラニング隊長〜〜〜〜!!(涙)」」」

なんにせよ、空気である。


――


チルノは思い返した、何故仲良しだった友達が、あそこまで豹変してしまったのか。
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