DI日記

□始まり
1ページ/2ページ

ひっそりと、ただ表の社会を生活している者には見えない場所にそれはありました。
己の趣味の方向性が他人(ヒト)とは違ってしまった人、社会の法則により切り捨てられてしまう選択を選んでしまった人。
そんな人々がただ自らの気持ちの赴くままに行動し、そして少しの夢を見れる場所。

そんな場所がとあるビルとビルの隙間から通じているなんて、普通誰も知らないでしょう。
でも、彼らは知っています、そこに入る許可を得ています、その世界の主から招きを受けているのです。


主によって世界の沼底とも称されるその世界の名前は…



Deep Island〜ディープアイランド〜
 





表の世界でマイナー趣味と言われる人間だけしか訪れる事の出来ない不思議な不思議な遊び場です。







「さぁ、今日も張り切って同志をお迎えするよ〜!」

「はい。といっても私がする仕事ってそんな張り切ることじゃないと思うんですが…」

ここはディープアイランドのいわゆる事務所と呼ばれる場所です。従業員はここに来て自分の名前のタイムカードを機械に入れていきます。
先ほどから少しはしゃぎ気味に話しているのが、ここの管理者で自称オーナー、本名不明の見た目は20代後半の女性です。

そして、少し疲れ気味な雰囲気でオーナーに話しかけているのが、本人認識では清掃員、実際の役目はマスコットの深見さんです。
深見さんはおそらく30代で、短い黒髪にいつも穏やかそうな笑顔がトレードマークの方です。

彼の仕事は清掃員と一応なっていますが、実際はそこまでゴミは落ちていないことが多いので売店の手伝いやお客様と話したりしています。
彼自身最初の頃はおかしいな?と思っていましたが、今ではまあいいかと思っています。

そんな深見さんにはオーナーから特注で制服が渡されています。
青い色をした作業着などでよく見るつなぎです。背中の部分には水色でディープアイランドのロゴが入っています。
これはオーナーの手作りでかなり気合を入れて作ったそうです。
深見さんにはサイズを測られた記憶がまったく無いにもかかわらず、仕事を始める日には同じ物を3着渡されました。
その時のオーナーの台詞が「やっぱ清掃員って言ったらつなぎでしょー!はい、これ着てね」でした。
オーナーは自分のこだわりには妥協しない性格なので、反論しても意味がないのです。むしろ、その時は強制的に着させられていました。


「いいからいいから、じゃあトビラ開けるよー」


そういってオーナーは事務所の外に出て行きました。
このトビラとは物理的な門のことではなく、通路の事です。
この場所はオーナーのちょっと不思議な力が働いているので、その通路を開かなくてはこちらに来ることが出来ないのです。
通路のつながる先は街のどこかのビルとビルの間です。どこの街などの指定は特にありません。
その条件の場所にここに来れる資格と招きを得ている人が行くと勝手にたどり着くのですから。
この辺もなんとも不思議な事ですね。



それでは、世界のトビラは開きました。どうぞご自由にアナタの思いをお話ください、ここはけしてあなたの思いを拒みませんので。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ