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□侵食される思考
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今日もまた彼はやってくる、私を堕とす為に、私を汚すために…。

「なぁ…いい加減俺を受け入れちまえば?そうすればお前だってまただぁーいすきなご主人様にかまってもらえるぜ?」

ウィルスのささやきが私の心を揺らす。
彼を受け入れれば、本当にマスターはまた私の事を気にかけてくださるのだろうか…?

今でも私を使ってはくださるけれど…、買ってくれた当時はもっと声をかけてくていました。

「うーん大丈夫なんだろうか?これでいいのかなぁ…?」
「やったー!これでネット繋がったぁー!偉いぞお前はー」
「すごいねー、なんでもすぐに分かるなんて夢見たいだ…」

マスターが喜ぶ顔が大好きだった。マスターが私を必要としてくれるのが嬉しかった。マスターが私を褒めてくれると信じて何でも言うとおりにした。
でも、しだいにマスターは私を褒めてくれなくなった…。その上動作が遅いと怒り、携帯を良く使ってしまうようになった…。

「ほら、ちょーっと俺の事を受け入れてこの手を取るだけで、ご主人様は前みたいにお前の事をずっと見てくれるさぁ。あんな新参者のチビにお前の大切なご主人様取られてもいいのか?」

マスターの一番は私のはずなのに…、私のほうがあの子よりずっと優秀なはずなのに…どうして…?

「それによぉ、もし今俺の手を取ったところであんたは優秀なんだからすぐに俺みたいなのは退治できるんだろう?だったら、いいじゃねぇか少しくらいご主人様を困らせてやっても」

ウィルスの声は甘く、とても魅力的な誘いで…この誘いに乗ってしまいたくなる。
それに、ウィルスの言うとおり私は優秀だからこれくらいの事はすぐに処理できるし、これでまたマスターが私の事を気にかけてくれるのならいいのではないか…?

「そうそう、大丈夫だって。お前はなぁーんも心配することはないさぁ!俺がきちんとお前の事堕としてやるからなぁ、ふふっ」

ついに私は彼の手を取ってしまった…。その手から徐々に彼が私の中に入っていくのを感じる…少しの違和感はあるけれど…でもなぜか気持ちが良くなってくる。
アァ…、マスターこれでアナタはまたワタシだけのマスターになってくれますヨネ?ダイスキデスヨ、ワタシのマスター…。

そして、私の意識は闇へと堕ちていく…。


「くくっ、あぁーあ…俺の言葉を信じ込んじゃって…なんて憐れなコンピュータ君だこと?結局俺を一回受け入れちまったらもう最後だってのになぁ…一回入れればもう何回だって俺はお前の中に入り込めるんだぜ?まぁ思う存分、あんたの体を弄らせてもらうよ大切なご主人様との思い出と共になぁ?」

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