LOVE SONG

□第二楽章
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「真紀に嫌われたくない…。
どうすればいい…?」

響は顔を赤らめながら真剣な顔をしている。

「お前、本気で言ってんの?」

「こんなこと冗談で言えるわけないだろ?」

女を何人もたぶらかす『高岡 響』が冗談でも男に言えるセリフではない。

ましてや女にも言ったことはない。

心臓が痛いぐらい脈を打つ。

『告白』をするのにこんなにも勇気がいるのだと初めて知った。

「…付き合ってられないな。」

ふぃっとマキは台所に戻ろうとした。

「真紀!」

その腕を響はぐっと掴む。

だが掴んだ腕をパンッと思いっきり振り払われた。

「女何人もコマしてるそうじゃねぇか!
そんな奴信じられると思ってんの!?
そういう友達が欲しいなら他あたれよ!」

「そんなんじゃねーよ!
俺、初めてなんだ。
こんな気持ち…!

好きとか欲しいとか思うのは…!」

「俺はこの体、俺自身で仕事してる。

俺は『俺』が全てだ。」

マキはグイッと勢いよく響の襟元を掴み引き寄せ睨みつける。

「『俺』が欲しいならお前も全てをよこせ!!

それが出来ないなら二度と俺に近付くな!!」

きついセリフ、きつい瞳。

まるで敵同士のようだ。

それでもマキに惹かれる。

この思いは本物だ。
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