LOVE SONG
□第五楽章
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響は歌番組に出演するため、テレビ局に来ている。
ランスルーも終わり、楽屋に戻ろうとしていた時、声をかけられた。
「高岡じゃん!」
「章久。」
「今日はMヘブン一緒だな、新曲出すのか?」
「ああ。来週にな。」
「色っぽいとこに痕つけてんな。」
章久は笑いながら自分の鎖骨をトントンと指す。
「え?あっ!」
かあっと赤くなり、胸元をシャツで隠す。
昨日の晩もマキと過ごしていた。
マキは声をころすためか、響に対する愛くるしくさからか、肩口や鎖骨に噛みつく。
たぶんわざと。
その痕が響の体につく。
響は昨夜の事を思い出してしまう。
「あー?今更じゃん?なんだよ?」
章久は響が結構遊んでいた時からの知り合いで、女性遍歴も知っている。
今まで女との事を指摘されたって何ともなかったんだが、マキとの事は別らしい。
まるで純情少年のように恥じらう。
「響ー。」
マネージャーの呼ぶ声が聞こえる。
「じゃ、じゃあまた後でな!」
「おお。」
ててっとその場を走り去る。