書物
□会いたい
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佐助
佐助
嫌だ今すぐ会いたい
「…はぁ〜、佐助ぇ」
「幸村様、ずっとあの調子だな…」
「頭が任務に出てから、今日で三日目だな」
「あれになったら使い物にならんから困るな」
「ちょっ、才蔵…」
佐助はつい三日前、お館様の命で偵察に向かったのだ。だが、予定として帰ってくるのは、あと二日後。
あぁ…本当、早く帰って来ないか
「幸村様、佐助はまだ戻りませんよ」
「嫌だ、今すぐ会いたいのだ」
「はぁ…ですが、いい加減、溜まってる仕事をしてください」
「むぅ、分かっておるわ」
いつも一緒だから、一日でも離れてしまうとすぐにこうなってしまう。
互いになくてはならないもの。
二人はお互いが空気のような存在となっているんではないかと思う。
きっと佐助も、表には出さないが幸村様と同じ気持ちになっているんではないだろうか…
まぁ、仕事に支障が無ければいいのだがな。
「佐助、茶を〜」
「はいはい、今日は私が入れますよ。幸村様」
「さ、才蔵、ああ頼む」
まったく、こっちにしてみれば惚気にしか見えないな。
…そうだな、佐助が帰って来たら聞いてみようか。
会いたいと、そう願う事はなかったか、と。
どんな反応をするか、少しばかり気になるな。
end