星矢短編小説

□ああ夏休み!
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『カミュ、お元気ですか。日本は梅雨が明けてどんどん暑くなってきました。
きっと聖域も暑いでしょう。体調は崩していませんか?俺達の通う学校はこないだ期末試験が終わって、もうすぐ夏休みなんです!
夏休みに入ったらそちらに行くので待っていてくださいね!』

「おーい氷河ー!行くぞー!」
「ああ、今行く!」

 梅雨も明け、からりとよく晴れた朝の何気ない登校途中の風景。
 先を行く星矢たちの声に氷河は手紙をポストに入れると、強くなりはじめた日差しに金髪をきらめかせながら走り出した。



【ああ夏休み!】



「なあなあ、テストどうだった?」
 昼休み、星矢たち4人はいつものように屋上に集まっていた。
 星矢は紫龍の肩を引き寄せからかうように覗き込む。
「言っておくが俺は聞かれて困る点数はとっていないぞ。そういう星矢はどうなんだ」
「え、俺?俺はまぁ、いいじゃん!なっ氷河!」
「………」
「あーだめだよ、氷河ったら今暑さで死んでるから」

 紫龍にじゃれつく星矢。日陰にある壁にもたれて額に冷やしたタオルを乗せ茹で上がる氷河。
 その氷河に少しでも風を提供しようと下敷きで扇いでやる瞬。この学校の名物となったいつもの光景。

「風が…生ぬるい…」
「しょーがないよ。これでも頑張ってるんだから」
 文句言うなら自分で扇いでよーと言いながらも瞬は下敷きをパタパタさせながら扇ぎ続けてやった。
 そんな氷河を横目に見ながら星矢と紫龍は日なたの方に座る。
「そういえばみんなは夏休みどうすんだ?紫龍は五老峰に帰るんだろ?」
「ああ、老師と春麗が待ってるからな」
「いいよなー、夏休みに彼女とラブラブでー!」
「何を言っている。もちろん老師に修行をつけてもらうに決まっているだろう」
 予想通りの紫龍の答えに星矢はつまらなさそうに口を尖らせた。
「ちぇ、つまんねーの。瞬はどーすんだ?」
「僕は日本に残るよ。兄さんもいるしね。星矢も残るんでしょう?美穂ちゃんが言ってたよ」
「まーな。星の子学園のチビたちと遊んでやる約束したからな。氷河は聖域のカミュのところに行くんだろ?」
 星矢の言葉に氷河は力なくこくりと頷いた。
 ガンガン日差しを浴びているというのにどうしてああも平然と日なたに座っていられるのか、氷河には不思議でならない。
「夏休み入ったら、すぐ発つ…」
「相変わらず師匠にべったりだな氷河はー」

 この他愛ない光景も夏休みまでのあと数日となった。



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