長編
□感情分裂
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今さらだとは思うが、もしもあれが薬ではなく毒だったら。
犬夜叉は体が丈夫なため問題ないだろうがかごめは人間だ。きっとひとたまりもない。
自分の恐ろしい考えに歯がガタガタと震え出す。そんな七宝に気づいたのか犬夜叉は目を丸くした。
「どうした七宝。」
「い、いや・・・何でもないぞ。」
かごめは咳が収まり彼と同じように七宝を見つめている。
──何も起こらない。
ほっとすると同時に七宝は先ほどの男を頭に浮かべた。
(あの薬売り、おらを騙したのか?)
ともあれ、最悪の展開にならずに済んだのは良かった。二度と見知らぬ者からへたに物は貰わないと心に誓い、七宝は薬を包んでいた葉をクシャッと握り締めるのだった。
しかし、その翌日に事件は起きた。
目が覚めた犬夜叉はすぐに違和感に気付いた。昨夜は胡座をかき背中を固い壁に預けて寝ていたはずなのだが、何故か今は柔らかいものに包まれている。身体が温かい。