長編
□君との別れは、
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桔梗が“やり直し”に賛成している。
そんなことは犬夜叉にとってどうでも良かった。彼女が何と言おうと、この気持ちが曲がることはない。
「俺が嫌なんだよ!
やり直すだと!?ふざけんな!」
死魂虫の締め付けはだんだん強くなってきている。少しでも緩んだらかごめを腕に抱こうとする彼の意志を察したのだろうか。
「ちっ、邪魔だ!」
ついに我慢が出来なくなったのか、それを引きちぎろうとする。だがその時、木の向こうに人影が現れた。
ゆっくりとこちらに近づいてくるその人に、死魂虫達は一斉に集う。
かごめは無表情でその様子を見つめていたが、やがて口を開いた。
「桔梗・・・」
名前を呼ばれた彼女は、一瞬目をそちらに流したものの、すぐに犬夜叉へ視線を戻した。
黒髪を揺らしながら、ゆっくりと歩み寄る。
「犬夜叉、何故来てくれない?
最近はずっとそうだったな・・・」