長編
□君との別れは、
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犬夜叉の発した言葉に、戦慄が走った。
桔梗は顔をしかめ、嫌悪感をむき出しにする。
「・・・何も違わないだろう。
お前は私と共に・・・」
「桔梗。」
鋭く遮り、犬夜叉は声を張り上げた。聞きたくないとでも言うように首を振る彼女に胸を痛めながらも、はっきりと──別れの言葉を口にした。
「俺の望む未来はお前とじゃない──かごめと一緒に生きることだ。」
その瞬間、桔梗の体から力が抜けた。
支えられることはなく地面にストンと膝をつく。
そんな彼女を見ても、犬夜叉は抱き締めようとはしなかった。
その腕はかごめだけを抱くためにあるのだから。
黙ったままの桔梗だったが、やがて静かに手を上げて死魂虫を呼ぶ。
それは彼女を優しく包むと舞い上がった。犬夜叉は何も言えずにただ遠ざかっていく青白い光を眺める。
それが見えなくなった時、ぐっと拳を握りしめた。自然と口から出るのは愛しい彼女の名。
「かごめ・・・!」
もう迷わない。