長編

□君との別れは、
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本当に大切なものを失うことのないように、繋ぎ止めようと必死に犬夜叉は抱き締める。温かな腕に包まれたかごめは気を緩めそうになったが、すぐに彼を強く押し返した。


「・・・だめだよ犬夜叉。私はアンタのこと、傷つけることしかできない。」


胸を押す震える手から心の迷いが伝わる。犬夜叉が手首を掴もうとする前にかごめはすっと腕を下ろした。そして地面へと視線を落とす。

そんな拒絶に困ったように眉を下げる犬夜叉。しかし口元は優しく弧を描いていた。


「その痛みを上回るほど俺はお前に惚れてるんだよ。」


かごめは涙を堪えるようきつく唇を結んだ後、声を荒くした。


「そんなことっ・・・言わないでよ!せっかく決心したのに、犬夜叉と離れようって、決心したのに・・・」


行き先をなくしていた手を胸元で握る。そして一歩、犬夜叉に近づいた。



「挫けちゃう・・・じゃない・・・」



弱々しく吐き出した言葉と共に、かごめは目の前の赤い衣に額をあてた。そしてきつく、すがるように衣を握りしめる。


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