長編
□感情分裂
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七宝はいつものように弥勒の肩から顔を出しその様子を眺めていた。
「似合ってねー物買おうとするな!」
「なんですって!?」
店に売られていた綺麗な簪。
かごめはそれを珊瑚につけてもらっていた。
店の男があんまり似合う似合うと褒めるものだから、かごめは犬夜叉にも感想を聞いたのだ。
おもしろくなさそうに腕を組んだまま悪態をついた彼。
するとあっという間に喧嘩に発展し、今に至る。
「犬夜叉は素直に言うのが恥ずかしいんですよ。」
「そうそう、照れ臭いだけだって。」
その場では何とか弥勒と珊瑚が二人を宥め、結局簪は買わずに楓の村へと足を運んだ。
楓の小屋に着いた頃には、二人は先ほどの喧嘩のことなどすっかり忘れているようだった。いつの間にかぴったりとくっつき、いつものように会話している。
弥勒と珊瑚はそんな光景に苦笑したあと散歩に出かけてしまった。もちろん雲母を肩に乗せて。
暇になった七宝はひょいとかごめの膝から降り外へ出ることにした。
村をぶらぶらとしていると、彼は怪しい身なりをした男を発見した。その周りにはたくさんの人が群がっている。