短編

□かごめ姫を奪え!
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透き通るように美しい肌

手入れの行き届いた髪の毛

優しさを象徴する温かい瞳

美しく弧を描く唇


数えきれないほどの男を虜にしたその娘は、語り継がれる伝説・『かぐや姫』にちなんでこう呼ばれていた。


かごめ姫───






小さな小屋に、彼女はいた。
父親はすでに他界、母親は家計を保つために始めた仕事で朝から晩まで帰って来ない。

しかし、彼女はひとりではなかった。


「かごめ姫、客人でございます。どういたしましょう?」


恭しく頭を下げるのは、かごめを妖怪、そして誘拐しようとする人間から守るために雇われた法師。

もともと彼女とは仲が良く、嫁の珊瑚とそろってその役目を任されたのだった。

そんな彼に「姫」と呼ばれ、彼女は冗談やめてよ、と笑ってから、真剣な面持ちをした。


「・・・何人?」


弥勒は先ほど戸の前にずらりと並んだ者達を思い出した。


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