短編

□青空の下へ
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窓から見えるのは緑一色。そんな森の奥に、城のように大きな屋敷があった。

人の住む町から隔離されたようにそれはある。以前は頻繁に人の出入りも見られたのだが、ここ数年はひっそりとしている。その余りにの静かさは「誰も住んでいないのでは」と言われるほどだ。

しかし決してそんなことはない。







屋敷の中のある一室。
14畳ほどの部屋。

そこは恐ろしいほど殺風景だ。家具が置いてあるのはほんの6畳程度で、その他のスペースは掃除こそされてはいるが何にも使われていない。茶色で統一された家具の中で唯一ソファーだけが真っ白。そこに座っているのは、一人の女。

日暮かごめ──祖父が亡くなったらこの屋敷、そして遺産を受け継ぐ者だ。

彼女は本当の外の世界に出たことがなかった。広い庭に出してもらえることはあっても、街へ行ったことなど1度もない。

つまり必然的に人との出会いも削られていく。今まで関わったことがあるのは祖父の仕事の関係者がほとんどだ。


しかしそんな彼女のもとに今日、一人の男が現れた。



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