長編
□雨の味
1ページ/7ページ
彼女は至って真剣だった。
じっ・・・と彼の目を見つめる。
「学校行くって・・・本気か?辛くなるだけじゃねーか?」
「大丈夫よ、朔牙くんの傍にいるし・・・お願い、一緒に行かせて。」
袖を握る手に力を入れた。
「・・・・・・」
犬夜叉が心配していることは他にもあった。
自分が彼女に話しかけることで、周りが自分のことを変な目で見ないか、ということだ。
しかしかごめはそんな心配はお見通しらしい。
「朔牙くんには必要なこと以外で話しかけないから・・・」
お願い、と手を合わせる。
「・・・まぁ、俺が断れるようなことじゃねぇし。」
犬夜叉は了承すると、かごめは笑みを浮かべた。
朔牙くんには必要なこと以外で話しかけないから───そう言いながらも、登校途中、彼女は何かあるたびに犬夜叉の袖を引っ張った。