長編
□雨の味
1ページ/6ページ
一週間後───
なんだかんだで結局かごめはまだ犬夜叉の家に居た。
本体へ戻れる様子も、ない。
寝起きの悪い彼を起こすことと、朝食と弁当を作るのが彼女の朝の仕事。
二人で学校へ行き、5時頃に下校。
夕飯も掃除も、家事はほとんどかごめがやっていた。
「なんかもう、このままで良いかも。」
学校が終わり家に着くと、彼女は息をついた。
「このままでいいって・・・何がだよ。」
彼は眉間に皺を寄せた。
主語を言え、主語を。と念を押す。
「私の体はもう・・・十日以上意識を取り戻さないんでしょ?・・・そしたらいっそのことこのまま、魂で暮らすのも良いかなぁ、なんて。」
微笑した彼女に、彼ははっきりと言った。
「バカ。何弱気になってんだ。かごめらしくねぇぞ。
それに、お前の体が意識を取り戻さないまま、ずっと生きていけるなんて・・・」
そこまで言ってはっと口をつぐむ。