長編
□雨の味
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凍った空気を何とかしようと、おちゃらけた口調で犬夜叉は言葉を返した。
「れいきぃ?おめぇ霊が見えんのか。」
弥勒は首を横に振った。
「私はまだまだ未熟者。故に霊を見ることはできません。しかし・・・気配を感じることくらいならできます。」
犬夜叉はその言葉で彼にかごめが見えていないことを確信した。
途端に、強気になる。
「そりゃすげーな、つーことで。飯の最中だ、邪魔すんな。」
ぐいぐいと彼をドアから締めだし──
バタン!
鼻先で、勢いよく閉めた。
ガチャ
彼は鍵もかけ、ひとつ息をつくとかごめの方を振り返った。
彼女はベッドの隣で小さくなり、膝を抱えていた。
体が小刻みに震えている。
「もう大丈夫だ、かごめ。弥勒は帰ったぞ。」
犬夜叉は安心させようとなるべく優しい声で言った。