長編
□雨の味
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夜、犬夜叉は寝るために布団を準備しようと立ち上がった。
同居している彼女もそれを手伝う。
「かごめ、枕。」
「はい、これよね?」
今では慣れた日常。
かごめは枕を彼に渡したあと、ポツリと呟いた。
「戻りたいな。」
犬夜叉の体が強ばる。
「そうだろーな・・・」
「・・・戻れるよね。」
「おう。」
かごめは犬夜叉が敷いた布団に、ばさっ・・・と倒れこんだ。
「戻れるって、信じたい。それでも不安なの・・・・・・」
うつ伏せになり顔を毛布に埋める。
「かごめ・・・」
犬夜叉はそんな彼女の隣にしゃがんだ。
大丈夫だ、と繰り返しながらぎこちなく頭を撫でてやる。