長編
□雨の味
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今日は土曜日。
犬夜叉はたっぷりと余っている時間を使い、ゆっくりと昼寝でもするつもりだった。
しかし、
「デートがしたい!」
彼女の希望で、それは幻となる。
無理に揺り起こされ、犬夜叉はだるそうに上半身を起こした。
昨日まで腕の中にいたはずの彼女はいつの間にか台所に立って料理を作っている。
そして、言ったのだ。
両想いの記念にデートがしたい、と。
当然、頬を染めた愛しい彼女のお願いを断るわけがない。
「どこに行く?
遊園地とか言うなよ。周りには俺ひとりに見えてるんだから。」
「ん、わかってるわよ。」
かごめはだから、と付け足した。
「ただ、デパートに行くだけ。二人でお出かけができれば良い。」