キリ番

□言えない言葉
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「ねえ、犬夜叉」

くるりと振り向いた彼にかごめは両手を突きだした。

「どう?」

「どうって、なにがだよ」

「て・ぶ・く・ろ!可愛いでしょ。ママがプレゼントしてくれたの」

「ふーん」


可愛い、という言葉に対し反応の薄い犬夜叉。かごめはあまりそれを気に入っていなかった。物に対しての“可愛い”に頷いてくれない──それだけならまだしも、彼女が着物で着飾った時も簪を身につけた時も彼は一度もその一言を発することはなかった。

そのうちかごめの中にはある一つの目標が生まれていた。


(犬夜叉に可愛いって言わせたい!)


そしてある晴れの日。


「どう?」


井戸から戦国時代に帰って来て早々、そう言って微笑むかごめはいつもよりも愛らしくまさに“女の子”という感じだった。
実はここに戻ってくる前、クラスの友達にメイクを頼んでしてもらったのだ。

しかし犬夜叉の反応は相変わらずである。
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