キリ番
□勘違い
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余計なものは一切なく、綺麗に掃除されたその小屋の中。本来は犬夜叉とかごめの愛の巣──と言われるものだが、今そこに居るのは妻に捨てられた男二人。珊瑚とかごめは夫を置いて薬草を摘みに行っていた。
「・・・ということで、珊瑚にかまってもらえないんですよ〜。」
「へえ。」
「昨日なんか私抜きで子供達と散歩に行ってましてね・・・。」
「ふーん。」
先ほどから何を言っても生返事の繰り返し。とうとう頭にきた弥勒は横に置いておいた錫杖を手にすると思い切り犬夜叉の頭殴りつけた。
かなりぼーっとしていたために攻撃を防ぐことの出来なかった彼は突然の激痛に悶える。
情けない友人に、弥勒は哀れみの目を向けた。
「・・・犬夜叉、かごめ様のことを考えるのもほどほどにしろ。」
「は!?なんでいきなりかごめ・・・」
目を見開き頭をさする犬夜叉。弥勒は大きくため息をつくとビシッと彼の鼻先を指差した。
「お前の顔にはっきり書いてある。こんな男の話を聞くよりも、かごめ様といちゃいちゃしたいとな。」
図星を突かれ慌てる犬夜叉は立ち上がって法師を見下ろした。