キリ番

□君だけ
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次の村を目指し、昼間だというのに薄暗い森の中を進む犬夜叉一行。足場も悪く体力を消耗してしまっているため、妖怪との戦いは避けたいと願っていた。

風が吹いたと同時に、突然先頭を歩いていた犬夜叉は舌打ちをした。


「ちっ、嫌な臭いがするぜ。」


隣を歩いていたかごめを自分の背中に回し、後ろを向くと爪を構える。
弥勒と珊瑚は顔を見合わせ、疲れている時に限ってこのお決まりの展開になることに肩を落とした。


「鋼牙ですな。」

「あいつも本当に懲りないね。」


大量の砂ぼこりを巻き上げながらつむじ風が一瞬にして目の前に現れた。


「かーごめー!」


久しぶりに愛しの女に会えたため、いつも以上に興奮気味の鋼牙。彼は爪を振りかぶろうとしていた犬夜叉の頭を踏み台にし、かごめの前で足を止めた。


「鋼牙くんこんにちは。」


ニコッという笑顔付きの挨拶。その可愛さに胸を打たれた鋼牙は即座に手をとって彼女を熱く見つめた。
そして自分に向けられた「こんにちは」という言葉の響きを噛み締める。


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