キリ番

□夢の中で
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妖怪退治の仕事を終えた時すでに日は落ちていた。辺りが暗く危険なため依頼者は宿を用意すると言ったが犬夜叉と弥勒はそれを断った。それぞれの愛しい女と、弥勒の場合は子供も冷たい小屋の中に置いてきているのだ。

雲母に跨がる弥勒を残し犬夜叉は妖怪をなぎ倒しながら楓の村への近道である森を抜けていった。






小屋の戸は半分ほど開いていた。かごめが起きているのかと思ったが、中は真っ暗。壁に背を預け膝に布団をかけた状態で彼女は静かに寝息をたてていた。時々外を見て犬夜叉の帰りを待っていたが、そのうち寝てしまったようだ。
彼女の身体を温めていた火もすきま風のせいで消えてしまったのだろう。

犬夜叉は横にして寝かせてやろうと思い隣にしゃがみ手を伸ばした。

その時、僅かに開いたかごめの唇から掠れた声が漏れる。



「ママ・・・」



触れようとしていた手が、止まった。

かごめはスゥ、と息を吐き再び規則正しく寝息をたて始める。彼女の寝息が時間を刻む。


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