短編U

□二人を結ぶもの
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仕事から帰ってきた犬夜叉が持っていたのは米俵や金目の物、そして小さな箱だった。
彼は箱以外のものを床に置いた後、それをかごめへと差し出した。

「何?これ」

「これをつけてる奴は互いに対しての気持ちに素直になれるんだと。弥勒がよこしたもんだからインチキくせーけどよ…お前こういうの好きだろ」

彼の言う通り、かごめは目をキラキラさせて頷いていた。
箱を縛る紫色の太い糸をほどいて恐る恐る中を覗くと、そこには2本の赤い糸があった。

「ねえ、さっそく結んでみようよ」

毛筆が弥勒と似ているような気がしなくもない短い説明書きを読み、互いの小指に赤い糸を結び合うため向かい合って腰を下ろす。

「ふふ、犬夜叉の素直な気持ちかあ。聞くのちょっと怖いかも!」

かごめは不器用な犬夜叉らしい結び方に笑いながら彼の手を取った。

「そっちこそ、もし俺のこと悪く思ってたらただじゃおかねえぞ」

そう言いつつもどこか余裕のある彼の表情を見つめながら糸を小指に絡めかけた、その時。

「かごめー!遊びに来たぞ!」

本来そこに居たはずの犬夜叉を押し退け、どろんという音とともに七宝が現れた。
そして上手い具合に本来犬夜叉の小指に結ばれるはずだったそれが七宝の小指に結ばれてしまった。
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