短編U

□辿るべき道
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──犬夜叉、怒ってるかな……黙って三日も帰って来ちゃったし……

自分のベッドに寝転がっていたかごめはゴロンと身体を半回転させ仰向けになる。

──けど迎えに来なかったってことは大人しくしてるのかな。それにもとはと言えば犬夜叉が桔梗のことでグチグチ言っているのが悪いのよね

三日前の大人びた顔をした彼を思いだすとまだ胸が痛む。そして消えたと思っていた怒りがふつふつと沸き上がり厳しい表情になる。
けれどそれはきっと無駄なことで。桔梗のことは今はまだどうにもできないとかごめは少しずつ理解していた。

──そうよ!私がこんなに考えることじゃないわ

そのモヤモヤをを吹っ切るようにかごめは一気に起き上がり必要最低限だけのものをいつものリュックにまとめた。
リュックが軽くなった分だけ、心も軽くなったような気がした。かごめは家を飛び出すと井戸の前に立ち何度か深呼吸する。
戦国時代の井戸に背を預け、不機嫌を装いながらも自分が帰って来たことに喜ぶ彼を想像しついクスリと笑ってしまう。
その勢いで思い切り井戸へと飛び込んだ。

「えいっ」



時代を越える間かごめは一瞬まばゆい光に包まれ視界を遮られた。次に目を開けた時、上からお日様の光が差していてほっとする。戦国時代へ繋がらなかったのかと思いドキリとしたからだ。
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