短編U

□将来の夢
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久々の学校で出された国語の宿題にかごめは自室の勉強机の前で頭を悩ませていた。ちなみに彼女の隣には赤い衣の男。

「将来の夢?」
「そ。1分間スピーチを考えなくちゃいけないんだけど、そのテーマが将来の夢なの。今からそんなこと言われたって…って感じよね」

1分間だけならば作文用紙一枚分をゆっくり読み上げることで時間通りに発表ができる。だがそのたったの400文字が書けないのだ。
“私は将来、”その書き出しだけでペンは止まってしまっている。

しかしかごめの言葉に犬夜叉は目を丸くして言ってみせた。

「そうか?俺にもお前にもあるじゃねえかでっかい夢が」
「それってなあに?」

食いついてきたことが嬉しかったのか、犬夜叉はぐっと拳を握り高らかに宣言する。

「奈落を倒す!!」
「……あんたねえ、それを授業で私に発表させる気?」

そもそもそれは夢とはまた違うのではないか、などとも思ったがかごめはそこで口を塞ぐことにした。

「間違ってはいないだろ」

偉そうにふんぞり返る彼を尻目に彼女は未来の自分をぼんやりと思い描いてみる。

「うーん、神社の跡継ぎかなあ、それとも無難に公務員とかかしら…」

次々と彼女の口からでてくる聞きなれない生業に犬夜叉は眉をしかめた。
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