短編U
□二人の責任
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12、13、14……
もう、2週間遅れてる。
どうしよう、どうしよう、
もし……なんてことがあったら……
私にはまだそんな覚悟……
「かごめ?」
突然顔を覗き込まれ、ハッとした。
「い、犬夜叉、なんか言った?」
「……やっぱ最近変だぞお前。話しかけても上の空だし、妖怪と闘ってる時も矢の命中率が下がってる」
「あはは…ごめんね、ぼーっとしちゃって」
楓ばあちゃんの小屋で二人で留守番。
めずらしく犬夜叉と二人きりなのに私は自分の世界にこもりっきりだった。
その理由は、ある不安が拭えないから。
「ぼーっとってなあ……おれといる時にすんなよ。もっとやることあんだろ」
「あっ!」
突然手首を掴まれ、床に押し倒された。チロリと首筋に赤い舌を這わされて身体が震える。
「だめよこんなところで……みんなが帰って来ちゃう」
「じゃあ現代(向こう)に行くか?」
するすると犬夜叉の手が私の身体のラインをなぞる。そっとセーラー服の中に指を潜らせ軽く爪で脇腹をつついた。
いつもならここで流されてあっちへ戻って、私の部屋で、もしくは祠で行為に及ぶ。
でも今日はとてもじゃないけれどそんな気分ではなかった。
「いや……」
「嫌ってなんだよ。いやじゃねえだろ……?」
「犬夜叉お願い、嫌なの」
「…………」
彼のひどく傷ついた顔を見ると胸が痛んだ。でもそんなこと言ってられる場合じゃない。もう一人で抱え込んでいられることじゃない。
あのことを、犬夜叉に話そう。
話してどういう反応が返ってくるかはわからない。
でも逃げてばかりじゃーーいられない。
起き上がり少し乱れた服を整えた。しっかりと犬夜叉と向き合い、深呼吸。
「犬夜叉に聞いてほしいことがあるの」
「……なんだよ」
ただならぬ雰囲気を察したのか、犬夜叉も身をこわばらせていた。
言うのが怖い。
でも言わないと、言わないと、言わないと……
「生理が、来ないの……」