短編
□貧乳な私。
1ページ/9ページ
突然の、雨だった。
私たちは泊めてくれる宿を捜している途中だったために、二つに別れてしまった。
弥勒さまと珊瑚ちゃんに七宝ちゃん。
犬夜叉と、私。
「やだ、びしょ濡れじゃない!」
「こりゃひでぇな。かごめ、着てろ。」
激しい雨に打たれて思わず声を上げた私に、犬夜叉は衣を脱いでバサッとかけてくれた。
妖力が宿っているためか、あまり冷たくなっていなかった。
「だめよ、犬夜叉が風邪ひいちゃう。」
折り畳み傘を持って来なかった私が悪い。
ぐいっと衣を突き返すと、
今度は無理やり着させられた。
「ばか野郎、お前と俺じゃ体のつくりが違うんだよ。」
口は悪いけど、彼の優しさはよく知っている。
申し訳ないと思いながらも、好意に甘えることにした。
「ありがとう、犬夜叉。」
「けっ、・・・あそこに空き小屋が見える。雨宿りしてくぜ。」