短編
□相恋酒
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『お祓いありがとうございました』
『いえ、何てことありませんよ』
酒──それは人を狂わせるもの。
今宵、楓の小屋にもそれに翻弄される者が───
「うぁーかごめー」
「いぬーやしゃあー」
「好きだぁー!」
「あたしもよぉ!」
こうなったのはもちろん不良法師・弥勒の所為。
「有名な滝の水」と嘘をつき、愛しい者が異常なまでに恋しくなってしまうと言われる幻の酒、『相恋酒(そうれんしゅ)』を飲ませたのだ。
そして二人をこの小屋に閉じ込めたのも、全て彼。
「かごめぇ、愛してる!」
「あたしは愛してるって言葉じゃ足りないくらい愛してるわよ?」
満面の笑みを向けられた犬夜叉は、やられたとでもいうように顔を隠した。
そんな様子に外から聞き耳をたてる弥勒。