短編
□離れたくないから
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「んー・・・」
朝、彼女が目を開けると、視界は一面緋色だった。
「おー、起きたか。」
頭の上からはその愛しい人の声。
「・・・犬夜叉。」
眠そうに目をこすり布団を引っ張るかごめに対し、彼はもう覚醒しているようだ。
「おう、かごめ。」
「・・・もう離してよ。」
一度退けようととはしてみたものの、その腕にはしっかり力が込められていて。抱きしめられているこの状態から抜け出せそうにはなかった。
甘えるように鼻先を耳につける犬夜叉。
「なんだよ、もうちょっといいじゃねーか。」
「い・や・よ。もうすぐ弥勒さま達来るんでしょ?」
ぐいっと彼の胸板を押し再び逃げ出そうと試みるが、
「させるかっ!」